〜その生い立ちから現在の政策、中国・日本との関係まで〜
■ はじめに
2022年、フィリピンにおいて圧倒的得票で大統領に就任したフェルディナンド・”ボンボン“・マルコス・ジュニア。彼の名前は、フィリピン国内外で賛否を巻き起こしてきました。
それもそのはず、彼の父親は独裁者として名高い元大統領・フェルディナンド・マルコス。
では、果たして息子のボンボンは父と同じ道を歩んでいるのか?それとも新たな時代のリーダーとしてフィリピンを導いているのか?
本記事では、彼の生い立ち・政治の歩み・経済政策・中国や日本との外交関係について、深掘りしていきます。
■ ボンボン・マルコスの生い立ち
▷ 政治の中枢に生まれた少年
1957年9月23日、マニラに生まれたボンボン・マルコス(本名:フェルディナンド・ロムアルデス・マルコス・ジュニア)は、まさに「政治のサラブレッド」。父は当時上り調子だった政治家で、1965年に大統領に就任。以後、21年間続く独裁政権を築きました。
母は有名なファーストレディ、イメルダ・マルコス。政治だけでなく、文化・ファッション界にも大きな影響を与えた人物です。そんな家庭に育ったボンボンは、幼少期から常に国家の最前線にいました。
▷ 海外での教育と帰国
10代でイギリスの名門パブリックスクール「ワース・スクール」に留学。その後オックスフォード大学セント・エドモンド・ホールで哲学・政治学・経済学(PPE)を専攻しましたが、学位の取得については物議を醸しています(特別卒業証書取得とされる)。
さらに米国ペンシルベニア大学のウォートン・スクールでMBAに進むも、父の政権の都合で修了せず帰国。
■ 政界入りとエドゥサ革命
1980年、わずか23歳で北イロコス州の副知事に就任。当時から父親の後継者として期待され、1983年には州知事に昇進。
しかし、1986年の「エドゥサ革命(People Power Revolution)」によって、マルコス一家は政権を追われ、ハワイへ亡命。贅沢な暮らしと巨額の隠し資産が問題視されました。
■ 政界復帰と大統領選
1991年、フィリピンに帰国し、1992年に下院議員として政界復帰。その後も政治活動を続け、2010年には上院議員に。
2016年の副大統領選では僅差で敗れたものの、2022年の大統領選では「団結(Uniteam)」を掲げ、ロドリゴ・ドゥテルテ前大統領の娘・サラ・ドゥテルテとタッグを組み、歴史的大勝利を収めました。
■ マルコス政権の経済政策
▷ 「Build Better More」インフラ戦略
前政権の「Build Build Build」政策を引き継ぎ、拡大した形で**“Build Better More”**を推進。道路・鉄道・空港・港湾・IT通信インフラなどを全国に展開し、地方格差の是正と経済成長を目指しています。
▷ 8つの社会経済アジェンダ(重点政策)
- 購買力の維持:物価上昇に対応し、生活費を抑える政策を強化
- パンデミック後の回復:教育・医療体制の強化
- 投資・雇用創出:産業育成と外国企業の誘致
- 物価の安定:特に食料と燃料コストをコントロール
- 社会保障:最貧層への支援策を拡充
- 人的資本への投資:教育・職業訓練の強化
- インフラ整備:交通・物流ネットワークの整備
- 政府のデジタル化:行政手続きのオンライン化推進
▷ 外資導入のための税制改革(CREATE法)
法人税の引き下げや税制優遇措置を含む改革により、外資の誘致を加速。特に製造業・テック分野への投資が期待されています。
■ 中国との関係:協力と対立の二面性
▷ 経済的にはパートナー
中国はフィリピン最大の貿易相手国であり、観光客やインフラ投資など経済面での依存度は高まっています。マルコス政権も当初は経済協力を優先する姿勢を見せていました。
▷ 南シナ海問題では強硬路線へ
しかし、中国の海警局や民兵船による領海侵犯が相次ぎ、マルコス大統領は毅然とした対応に転換。2023年以降はアメリカとの軍事協力を強化し、米軍に新たな軍事拠点の使用を許可。日本、オーストラリアとの安全保障協力も強化されています。
■ 日本との関係:最重要パートナーの1つ
▷ 経済支援の柱
日本はフィリピン最大の政府開発援助(ODA)供与国であり、地下鉄・橋・空港などのプロジェクトをJICAなどが支援。マルコス政権も「信頼できるパートナー」として日本を高く評価しています。
▷ 防衛協力の強化
自衛隊との共同訓練や装備供与の可能性が議論され、将来的には**「訪問部隊地位協定(VFA)」**の締結も視野に入っているとの報道も。南シナ海情勢を背景に、安全保障での連携が加速中です。
▷ 人的交流・教育支援
日本語教育や技能実習制度を通じ、年間数千人のフィリピン人が日本で働いています。さらに、日本の大学への留学支援、IT分野の人材育成なども活発化しています。
■ ボンボン・マルコス政権への評価と課題
▷ 国民の期待と懸念
就任当初は「希望」と「疑念」が入り混じった評価でした。過去の独裁政権に関する説明責任を果たしていないという批判も依然として根強くあります。一方で、若い世代の間ではSNSなどを通じて「新しいマルコス像」を築くことに成功しています。
▷ 今後のカギは実行力と透明性
政策そのものは現実的かつ実務的。ただし、庶民レベルでの成果が実感できるかどうかが今後の政権評価に大きく影響してくるでしょう。
■ まとめ:マルコスはフィリピンを変えられるか?
フェルディナンド・マルコス・ジュニアは、父の時代とは異なる形でフィリピンを再構築しようとしています。経済回復、外交戦略、インフラ改革など、多くの課題に直面しつつも、一歩ずつ進んでいる印象です。
果たして、彼は「過去のマルコス家」から脱却し、未来志向のリーダーとしてフィリピンを成長軌道に乗せられるのか? 今後も注視が必要です。
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